小型犬の歯周病

わんちゃんのお口の隅々まで見ていますか?

今回処置をさせていただいたわんちゃんは前の方の歯は比較的きれいだったのですが、

後ろの方の歯が歯周病で抜歯が必要になったわんちゃんです。

ポメラニアンやチワワなどの顔が小さいわんちゃんでは、一番後ろの歯とほほの内側にほとんど隙間がないわんちゃんがいます。

そのような子はその部分に歯垢が滞留しやすく歯周病になっていることがあります。

この部分は頑張って唇を広げて見ないと観察できません。

この子のように前の方の歯が比較的きれいだとより発見が遅れる事があります。

幸いこの子は定期的に当院を受診されていましたので、大事な上の第四前臼歯といわれる歯を失う前に処置をすることができました。

小型犬を飼われている方はぜひ定期的にチェックをしてもらいましょう。

 

今回処置を行ったのは2歳のポメラニアンです。

まだ2歳ですが歯周病がありました。

犬歯は歯肉炎はありますが、歯石はごく軽度です。

しかし奥歯の歯茎は腫れて、赤黒くなっています。

また歯石も多く、歯と歯茎の隙間に白いねばねばした歯垢がついています。

口臭は軽度で、近づいて臭わないと感じない程度でした。

麻酔をかけてプロービングで歯周ポケットの深さをチェックしました。

この部位で約5㎜の歯周ポケットがありました。

レントゲンは分かりにくいですが歯槽骨の垂直骨吸収が見られます。

近心口蓋根の歯根長の2/3以上に及んでいます。

写真の右側の歯の根っこの周囲の骨が溶けている状態でした。

犬の歯では特に写真の左側の歯が大事になります。

この子は歯磨きが今のところできないわんちゃんでした。

右側の歯を残しておくと歯周病が広がり左側の歯がダメになってしまいます。

その為右側の歯はぐらついてはいませんでしたが抜歯をすることにしました。

 

まず、局所麻酔を行います。

歯石を取った後、歯と歯肉の付着をメスで切開します。

この歯は根っこが三つある三根歯と呼ばれる歯です。

それぞれ一個の根っこになるように歯を切っていきます。

歯周病が重度の根っこは歯を分割するだけでグラグラしますのでそのまま抜去します。

また歯周病がほぼない根っこはエレベーターと呼ばれる器具でグラグラするまで歯を支える靭帯を切っていきます。

全部の歯が抜けたら抜いた穴をきれいにして歯ぐきを寄せて傷を閉じます。

 

他の歯も歯石を除去し、歯肉の裏側の歯石などを取りました。

しっかり研磨して歯石の再付着を防いでいます。

最終的にはこのようになっています。

ちなみにこの子は7か月の時に歯並びの調節の為に上の前歯は左右一本ずつ抜いています。

 

本来ならこれ以上歯周病が進行しないようにするために歯磨きが必要です。

ただ、今この子は口の周りを触ると怒るそうなので歯磨きはできないとのことでした。

そこで、とりあえず何もしないよりは効果は低くてもできる事をするために歯磨きガムを試してもらうことにしました。

歯磨きガムに関してはまた改めて詳しくご紹介しようと思いますが、

使い方、選び方を理解して使えばある程度の効果は期待できます。

特にこのように奥歯だけが汚れやすい犬は歯ブラシと併用することでより効果的です。

この子はオーラベットのXSを試してみてもらう予定です。

 

まとめ

・小型犬は若い時でも歯周病になっている場合があります。

・こまめにチェックが必要です。

・見えるところが大丈夫でも見えないところが悪い場合があります。

 

〈本症例の記録〉

ポメラニアン

2歳10か月

2.5㎏

女の子

病名:歯周病

処置:抜歯(209)、SRP

麻酔時間: 1時間30分

麻酔状態:安定

周術期の疼痛管理:メロキシカム、リドカイン

当日退院

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です