虫歯(う蝕)の症例

虫歯という言葉を知らない人はいないと思います。

虫歯が一本もないことは自慢できることですよね。

人では虫歯はそれほどよく知られている病気です。

一方わんちゃんでは虫歯はまれな病気です。

理由としては口腔内のPHが異なることや、食事内容が人と異なることがあげられます。

虫歯ができやすいわんちゃんは人の食べ物を食べている子や食糞をする子に多いといわれています。

わんちゃんの虫歯は主に奥歯にできますが、明確な症状が出ない為偶発的に見つかることがほとんどです。

私は今まで3例(確定診断ではなく、臨床診断です)しか見たことがありません。

 

今日紹介する症例は歯周病にたいする歯科処置の際に偶然見つけた齲歯(虫歯)を疑う症例です。

あらかじめお断りしますが、病理検査をしているわけではないので確定診断ではありません。

 

当院で健康診断をした際に歯肉炎が見られたため検査を含めた歯科処置を行いました。

その際に左上顎の奥歯(209:第一後臼歯 first molar)の中心窩に変色及び陥凹が見られました。

探針で探ると本来エナメル質でおおわれておりツルツルとして引っ掛かりのない部位なのですが、

円形に柔らかくなっている状態でした。

大きさは4㎜ほどでした。

この時点で明らかな露髄は確認できませんでした。

レントゲンでは根尖周囲病巣などは見られませんでした。

臨床診断は露髄を伴わない、象牙質まで進行した齲歯としました。

治療方針としては

①齲窩を削って修復→〇歯を残せる ×定期的にレントゲンで感染確認が必要

②抜歯→〇一回の処置でワンちゃんは痛みがなくなる ×歯を失う

をご提案しました。

どちらが正しいというのはありません。

飼い主様と相談の上抜歯をすることになりました。

 

歯科処置から約3か月後抜歯を行いました。

この時に見ると齲歯がある方の歯列の歯石が反対の歯列に比べやや多くついていました。

抜歯の歯は根っこが三本ある歯ですので三つに分割してそれぞれ抜歯をします。

周囲の粘膜を少し剥離して縫合して抜歯窩をふさぎました。

周囲の歯石を除去して終了しました。

 

二週間後に再診で来院していただきました。

抜歯をしたところの傷はふさがっていました。

また処置をする前より良く食べるようになったという事でした。

わんちゃんでもおそらく象牙質が露出するような虫歯は痛いのではないかと思います。

なかなか普段虫歯があると気が付くことはないと思いますが、

若い時と比べてフードの食いつきが悪い事があればお口の問題の可能性もあります。

獣医さんに相談してください。

〈本症例の記録〉

ポメラニアン
9歳6か月
3.5㎏
女の子
病名:齲歯
処置:抜歯(209)、SRP
麻酔時間: 45分
麻酔状態:安定
周術期の疼痛管理:メロキシカム、リドカイン
当日退院

 

 

 

 

 

キャバリアのかみ合わせ

キャバリアという犬種は皆さんご存知でしょうか?

日本での正式名はキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルと言います。(以下キャバリアとします)

比較的性格がよい子が多く、あどけない表情とよい毛並みを持ちます。

ただ獣医療に携わる人はどうしても病気の事を考えてしまいますが、病気が多い犬種のイメージです。

 

今回キャバリアの子犬の避妊手術と乳歯抜歯を行いました。

当院では避妊手術を希望される場合、乳歯の脱落の状況にタイミングを合わせて麻酔が一回で終わるようにご提案しています。

この子も下顎の乳歯の脱落遅延があり乳歯抜歯を行った子です。

下顎の永久犬歯が乳歯と同等の長さになっても乳歯の脱落が起きていません。

このままだと永久歯が上顎の歯茎にあたって穴が開いてしまいます。

 

左の上顎の乳犬歯も破折(折れて)います。

前歯の乳歯も残っており永久歯の位置が内側に生えてしまっています。

本当は前歯の事を考えるともっと早く乳歯を抜いたほうが良いのですが、

もともとこの子はアンダー気味の咬合(クラスⅢ 不正咬合?*)であったので犬歯のタイミングまで

様子を見ています。

*アンダーとは下あごが上あごに比べて長く本来なら上の前歯の内側に下の前歯が来るものが逆になる咬み合わせの事

*ブルドッグやフレンチブルドッグ等の短頭種ではアンダーが正常な咬合とされています。キャバリアにおいても情報が少ないですが一部の情報ではアンダーでもよく、成長に合わせて改善すると記載がありました。

 

この子の歯の異常をまとめると

・乳歯遺残 切歯、犬歯

・下顎犬歯の舌側変位

・クラスⅢ不正咬合

・乳歯の破折

がありました。

 

下顎の犬歯は上顎の第三切歯(前歯)の内側にあったので外科的矯正も考えました。

*外科的矯正とは位置が異常な

実際に乳歯を抜いて咬合を確認したところ、自然に犬歯の移動が起きれば問題ない範囲と判断しました。

その為外科的矯正は行わずこの症例に関しては乳歯抜歯のみで治療を行いました。

上顎の乳犬歯は歯根の吸収が起こっていたので時間がたてば抜けていたかもしれません。

翌日退院の際に確認したところすでに下顎犬歯はやや外側に変位していました。(顎の位置によるものかもしれません)

 

後日避妊手術の傷の抜糸に来られた時の写真がこちらです。

ほぼ犬歯の位置は正常に近いですが、右側の下顎犬歯は前歯と接触しています。

下顎が上顎対して長い為に仕方がないのですが、解消するためには上顎の切歯を抜く必要があります。

現状では生活に支障があるわけではない事と、

キャバリアが成長とともに不正咬合が治る場合があるという記載もあったので経過観察をしています。

今後この接触が続くと歯牙の摩耗が起きる可能性はあるのでその場合は抜歯も検討します。

 

〈本症例の記録〉
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル

6か月

5.3㎏

女の子

病名:乳歯遺残、不正咬合クラスⅢ

処置:抜歯(501.504.601.604.704.804)

麻酔時間: 20分

麻酔状態:安定

周術期の疼痛管理:メロキシカム

当日退院

 

 

心臓の悪いわんちゃんの歯科処置

今日は心臓の悪いわんちゃんの歯科処置を行いました。

小型犬では最も多い僧房弁閉鎖不全症という心臓病です。

心臓の中の左心房と左心室という二つの部屋の間にあるのが僧房弁と言います。

僧房弁は左心房の血液は左心室に流し、左心室からは左心房に血液が流れないようにしています。

その弁がうまく機能しなくなって血液が逆流してしまう病気です。

多くの場合は内科治療で重篤な肺水腫(肺の中が水浸しになる)などが出にくくする治療を行います。

僧房弁閉鎖不全症は急に起きるわけではなく、徐々に進行していく病気です。

初期には何も症状を出しません。

徐々に進行するにしたがって動くとしんどい様子が出たり、咳が出始めます。

進行の度合いはその犬によって異なりますので、寿命まで生きるわんちゃんもいます。

逆にどんどん進行して肺水腫や心不全で亡くなる子もいます。

 

今回処置を行ったわんちゃんは、咳の症状がある僧房弁閉鎖不全症のわんちゃんです。

8歳の男の子です。体重は約4㎏です。

心臓が悪いという場合麻酔がかけれないと思いがちですが、すべての犬でかけれないわけではありません。

この子の場合は逆流の程度は中程度で、不整脈もなく血圧も維持していました。

また運動不耐性もない状態でした。

もちろん何も病気がない子に比べればリスクは高くなります。

お口の状態は麻酔をかけずに観察した状態では犬歯の歯茎が後退しているのが見えました。

歯石の量は中程度で口臭はそれほどありませんでした。

 

この子の場合考えないといけない事は

①僧房弁閉鎖不全症は進行性で今後麻酔のリスクはどんどん上がる

②今の時点で歯周病の進行がどの程度かは不明(麻酔下で検査をしないとはっきりわからない)

③歯周病はほっておくと進行する。歯がぐらついて食べにくくなったり、歯周病による炎症が体に悪影響を及ぼす。場合によっては心臓病の悪化の要因になるかもしれない。

これらの事を飼い主様と相談して、歯科処置をすることになりました。

下の写真のように犬歯や奥歯の歯茎は腫れていました。

歯石もついています。

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通常どおり歯周ポケットの検査を行い、必要な部位のレントゲンを撮りました。

幸い重度の歯周炎を起こしている部位はほとんどなく抜歯に至る歯はありませんでした。

ただ、下顎の前歯(切歯)は叢生(歯並びが悪い)でした。

また上の前歯は回転歯で、歯根も曲がっていました。(黄色の矢印)

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下のあごの全臼歯は数が足りず(欠如歯、欠歯:矢印)、乳歯の遺残(丸で囲った歯)も見られました。

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SRP(スケーリング、ルートプレーニング)を行い無事終了しました。

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今後頑張って歯磨きをしていただき、歯周病にならないようにケアをしていただくようお伝えしました。

〈症例の記録〉

  • ミックス
  • 8歳
  • 去勢 男の子
  • 4㎏
  • 基礎疾患:僧房弁閉鎖不全症、椎間板ヘルニア
  • 処置:SRP
  • 麻酔の状態:安定
  • 処置時間 1時間20分
  • 使用機材
    • モリタ歯科ユニット
    • モリタエックス線装置
    • ウッドペッカー超音波スケーラー 歯肉縁下チップ装着
    • ケアストリームデジタル歯科レントゲン(イメージングプレート)

 

 

 

 

 

小型犬の歯周病

わんちゃんのお口の隅々まで見ていますか?

今回処置をさせていただいたわんちゃんは前の方の歯は比較的きれいだったのですが、

後ろの方の歯が歯周病で抜歯が必要になったわんちゃんです。

ポメラニアンやチワワなどの顔が小さいわんちゃんでは、一番後ろの歯とほほの内側にほとんど隙間がないわんちゃんがいます。

そのような子はその部分に歯垢が滞留しやすく歯周病になっていることがあります。

この部分は頑張って唇を広げて見ないと観察できません。

この子のように前の方の歯が比較的きれいだとより発見が遅れる事があります。

幸いこの子は定期的に当院を受診されていましたので、大事な上の第四前臼歯といわれる歯を失う前に処置をすることができました。

小型犬を飼われている方はぜひ定期的にチェックをしてもらいましょう。

 

今回処置を行ったのは2歳のポメラニアンです。

まだ2歳ですが歯周病がありました。

犬歯は歯肉炎はありますが、歯石はごく軽度です。

しかし奥歯の歯茎は腫れて、赤黒くなっています。

また歯石も多く、歯と歯茎の隙間に白いねばねばした歯垢がついています。

口臭は軽度で、近づいて臭わないと感じない程度でした。

麻酔をかけてプロービングで歯周ポケットの深さをチェックしました。

この部位で約5㎜の歯周ポケットがありました。

レントゲンは分かりにくいですが歯槽骨の垂直骨吸収が見られます。

近心口蓋根の歯根長の2/3以上に及んでいます。

写真の右側の歯の根っこの周囲の骨が溶けている状態でした。

犬の歯では特に写真の左側の歯が大事になります。

この子は歯磨きが今のところできないわんちゃんでした。

右側の歯を残しておくと歯周病が広がり左側の歯がダメになってしまいます。

その為右側の歯はぐらついてはいませんでしたが抜歯をすることにしました。

 

まず、局所麻酔を行います。

歯石を取った後、歯と歯肉の付着をメスで切開します。

この歯は根っこが三つある三根歯と呼ばれる歯です。

それぞれ一個の根っこになるように歯を切っていきます。

歯周病が重度の根っこは歯を分割するだけでグラグラしますのでそのまま抜去します。

また歯周病がほぼない根っこはエレベーターと呼ばれる器具でグラグラするまで歯を支える靭帯を切っていきます。

全部の歯が抜けたら抜いた穴をきれいにして歯ぐきを寄せて傷を閉じます。

 

他の歯も歯石を除去し、歯肉の裏側の歯石などを取りました。

しっかり研磨して歯石の再付着を防いでいます。

最終的にはこのようになっています。

ちなみにこの子は7か月の時に歯並びの調節の為に上の前歯は左右一本ずつ抜いています。

 

本来ならこれ以上歯周病が進行しないようにするために歯磨きが必要です。

ただ、今この子は口の周りを触ると怒るそうなので歯磨きはできないとのことでした。

そこで、とりあえず何もしないよりは効果は低くてもできる事をするために歯磨きガムを試してもらうことにしました。

歯磨きガムに関してはまた改めて詳しくご紹介しようと思いますが、

使い方、選び方を理解して使えばある程度の効果は期待できます。

特にこのように奥歯だけが汚れやすい犬は歯ブラシと併用することでより効果的です。

この子はオーラベットのXSを試してみてもらう予定です。

 

まとめ

・小型犬は若い時でも歯周病になっている場合があります。

・こまめにチェックが必要です。

・見えるところが大丈夫でも見えないところが悪い場合があります。

 

〈本症例の記録〉

ポメラニアン

2歳10か月

2.5㎏

女の子

病名:歯周病

処置:抜歯(209)、SRP

麻酔時間: 1時間30分

麻酔状態:安定

周術期の疼痛管理:メロキシカム、リドカイン

当日退院

 

子犬の歯並びについて

*閲覧注意 少しですが抜歯の際の出血がある写真があります。

 

犬を飼うといえばほとんどが小型犬になってずいぶん経ちます。

トイプードルをはじめとして、ヨーキー、ポメラニアンなど小型犬種では

乳歯遺残などによってかみ合わせが悪い場合がよく見られます。(不正咬合)

また、上下のあごの長さのアンバランスからくる不正咬合も良く見られます。

 

特に犬歯の永久歯が不正咬合を起こすと、上あごの歯茎や粘膜に傷をつけたり、

他の歯と過剰に接触して歯が削れる問題を起こすことがあります。

何らかの対処をしないとわんちゃんが不快な思いをしたり、歯を失う事もあります。

 

対処の方法はその状態に合わせて様々ですが、乳歯が生え変わるタイミングが最も選択肢が多くなります。

逆にそのタイミングを逃した後では多くの努力が必要になってきます。

具体的な方法としては

・乳歯をタイミングよく抜歯

・干渉する前歯を抜く

・生えてきてすぐの永久歯をずらして固定する(外科的矯正)

・永久歯の干渉する部分を切る(生活歯髄切断 せいせつ)

・様々な矯正

等の方法があります。

 

今回処置した症例をご紹介します。

下のあごの犬歯が前方やや内側に生えて上のあごの前歯の内側にあたっている子です。

このままだと歯ぐきが炎症を起こす可能性があるため、去勢手術と同時に歯の処置を行いました。

 

この子は最初のワクチンなどから継続的に来ていただいており、

その時から乳歯の生え変わりのタイミングで歯の問題が起きる可能性をお伝えしていました。

来院された時にはもうすでに下の犬歯は抜けてしまっていました。

このように下の永久犬歯が上の前歯の裏にあたっています。

下の写真は正常な咬み合わせです。

この時点で上の永久犬歯は上の乳犬歯の長さの1/2ほど萌出していました。

乳歯の脱落が起きるのは永久歯が乳歯の長さの2/3ぐらいまでなので、

上の犬歯の問題だけであればもう少しだけ様子を見ても良い状態です。

ただし下の永久犬歯を外科的矯正という方法で移動させるのであれば

この時点ですぐに処置をした方がよい状態でした。

ただ、飼い主さまの予定がどうしても合わず2週間後の処置になりました。

下はその時の写真です。

上の永久犬歯が乳歯の2/3の長さを超えても乳歯が残っているため

上の乳犬歯の脱落は遅れています。

この時点で飼い主様がなるべく一回の処置で歯並びをよくしたいとのご希望がありました。

その為、この子は犬歯が当たる上の両側の前歯を抜歯してスペースを作り、

下の犬歯を軽く脱臼させて移動する外科的矯正を行うことにしました。

処置後はこのように干渉しない状態になっています。

10 日後のチェックでは下顎犬歯もわずかに伸びてますが干渉を起こさず咬合しています。

子犬のこのような不正咬合はタイミングが重要になります。

一生の問題であり、タイミングを逃すと手間が増えることがあります。

5か月ごろからしっかりチェックをしてもらって適切に治療をしましょう。

 

〈本症例の記録〉

不正咬合 クラスⅠ

処置:永久歯抜歯(103.203)、乳歯抜歯(504.507.604.607)、外科的矯正(304.404)

麻酔時間: 30分(去勢含め約1時間)

麻酔状態:安定

周術期の疼痛管理:メロキシカム、リドカイン

 

 

若齢で重度歯周病に罹患したわんちゃん

当院で処置を行った3歳のトイプードルの子のお口の写真です。

いきなりですが皆さんこの歯の状態をどう思われますか?

これが抜歯が必要な歯と思った方は少ないのではないでしょうか。

しかし、この歯は抜歯が適応となる重度の歯周病に侵されていました。

飼い主様は歯ブラシやガーゼでお口の手入れをされていましたし、

わんちゃんも元気な生活を送っていました。

診察の時に口臭があったため歯科処置をご提案したのですが、

処置をしてみると見た目以上に歯周病が進行していました。

この歯のレントゲンがこちらです。

この歯は根っこが三つに分かれている三根歯という歯です。

この根っこの分かれ目の部分の骨が溶ける根分岐部病変がありました。

この根分岐部病変は1~3度まで三段階に分けられます。

 

この子は近心口蓋根および近心頬側根の間が3度でした。

また歯根の1/2以上の骨吸収もあります。

一般的に3度の根分岐部病変を持つ歯は抜歯対象となってしまいます。

 

皆さんは飼われているわんちゃんは若いから歯周病は大丈夫と思ってないでしょうか?

またオーラルケアをしているから大丈夫と思ってないでしょうか?

特に小型犬は歯周病のリスクが高いわんちゃんです。

歯周病も歯肉炎→軽度歯周炎→重度歯周炎と進行します。

早い段階の歯肉炎のうちに対処すれば歯周病は治すことができます。

1歳ぐらいの時に歯科健診を受けることをぜひおすすめします。

 

眼下膿瘍の犬の歯科処置

時々目の下に傷ができてなかなか治らないワンちゃんがいます。

実は奥歯の病気が原因でおきる傷の事がよくあります。

いわゆる眼下膿瘍と言われます(外歯瘻)。

奥歯が重度歯周病にかかって起きる場合(辺縁性歯周炎)と、何らかの原因で奥歯の神経が感染して起きる場合があります。

奥歯の神経が感染する主な原因は歯が欠ける事です(破折)が、歯の形成不全などが原因の事もあります。

今回処置を行った子は歯周病が原因で外歯瘻(眼下膿瘍)となった子です。

目の下の皮膚に穴が開いています。

原因の歯です。重度の歯石、歯垢。歯肉の退縮が見られます。

他の歯でも同様に重度歯石や歯肉の退縮がある状態でした。

当院では歯科レントゲンを撮影し歯根の状態などを確認します。

原因は右上顎第四前臼歯の遠心根でした。

辺縁性歯周炎が原因で起きた外歯瘻(眼下膿瘍の事)の治療は抜歯です。

抜歯をしなければいつまでも治らずわんちゃんは痛い思いをします。

その為この子も抜歯を行いました。

この子は他にも下の奥歯や反対側の歯も同様に重度歯周病にかかっており抜歯をせざるを得ない状況でした。

ここまでの歯周病になるとどのような手段をとっても歯を残してあげることはできませんが、このような歯周病の歯があることが痛みを起こしています。

抜歯をすることで痛みから解放されてよく食べるようになる子がほとんどです。

処置をするまでも食事は食べているのですが、処置後の食べ方を見て初めてそれまで痛みを感じながら食べていることに気づかされます。

この子も帰ったら美味しそうにご飯を食べてくれることでしょう。

 

〈本症例の記録〉

辺縁性歯周炎に起因する外歯瘻

処置:抜歯(108.208.306.308.309.406~409 計9本)、SRP

麻酔時間: 2時間15分

麻酔状態:安定

周術期の疼痛管理:フェンタニル、メロキシカム、リドカイン

猫の口内炎(歯肉口内炎、尾側口内炎)

猫の口内炎はご存知でしょうか?

猫の口内炎は尾側口内炎、歯肉口内炎とも呼びお口の奥ののどの周りが腫れてすごく痛い病気です。

おなかがすいて食べたいのに食べるとひどい痛みを伴うため非常にねこちゃんにとって辛い病気です。

(*これまで、口峡炎、慢性歯肉口内炎、難治性口内炎など様々な呼び方が存在しました。これからは尾側口内炎と呼ぶようになりそうです。)

炎症の原因はいくつかの原因が重なっているといわれています。(はっきり解明されてません)

これまでは根治が難しい病気とされており、ステロイドの長期投与などが行われることが多い病気でした。

近年様々な治療が試みられ、抜歯をすることで6~9割の猫ちゃんで完治が望めることがわかってきました。

動物歯科の先生の先生の間では、第一選択として抜歯をするのが一般的になっています。

歯はなくなりますが、痛みで食べたくても食べれなかった子が治ると快適に食べれるようになります。

ただし、長期にステロイドを投与してしまった猫ちゃんでは反応が悪い場合もあるようです。

わずかでも歯の根っこを残すと治らないなど注意もあります。

次のような症状が見られたら早めに診察を受けてください。

・食べたそうにするが食べない、もしくはちょっと食べて残す。

・顔をかしげてこぼしながら食べる

・口臭が強い

・口の周りが汚れている

・前足が汚れている

・時折ギャッとなく

・毛並みが悪い

動物病院で抜歯の提案がない場合、ステロイドの注射で様子を見ることはできるだけ避けてください。

もちろん抜歯は抵抗があると思いますので、まずは内科的な治療を行ってもよいと思います。

そのうえで、抜歯治療を含めた治療方針をかかりつけの先生とよくご相談ください。

 

一番多い病気「歯周病」

皆さんは「歯周病」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。

実は3歳以上のわんちゃん、ねこちゃんの80%以上が歯周病といわれています。(3歳時点ということは2歳や1歳でも何割かはすでに歯周病ということです)

一番罹患率が高い病気とも言えます。

歯周病の原因は細菌です。そして、何もしなければ進行していき歯茎やあごの骨が溶けていきます。

最後には歯が抜け落ちてしまい、穴が開きます。

また歯周病はお口の問題だけではなく、心臓の病気や糖尿病と関係があるといわれており

人では歯周病のある人寿命が短くなることが言われています。

わんちゃん、ねこちゃんの健康を考える上で重要な病気であることは間違いありません。

ではどうしたらよいのでしょうか?

 

一番良いのは歯周病にならないように予防することです。

そして、歯周病を最も効果的に予防する手段はすでに皆さんご存知の方も多いと思いますが、正しい歯ブラシを使った正しいブラッシングなのです。

正しい歯ブラシというところが一つ目のポイントで、それ以外のガーゼやガムといったものでは残念ながら予防ができません。

また一般で販売されている歯ブラシでも正しい歯ブラシを選択しなければ効果がないばかりか逆効果の場合もあります。

二つ目のポイントは正しいブラッシングです。残念ながらせっかくブラッシングをしているのに歯周病になってしまう動物がいます。

その場合は正しいブラッシングができていないことが多いのです。

正しい歯ブラシの正しいブラッシングのお話はまた別の機会にお伝えします。

 

ではすでにお口が臭っているような歯周病になってしまっている子はどうするのでしょうか?

それは、まず病院に行くことです。人でも、お口のトラブルがある場合は歯医者さんにいきますよね。

残念ながら動物の歯医者さんは限られていますので、動物病院に行きましょう。

そこで、お口の状態を可能な限り元のきれいな状態までリセットしてもらいます。

そのうえで、それ以上進行しないようにブラッシングを始めてください。

 

いかがでしたでしょうか?

歯周病は皆さんに関係のない病気ではなく最も身近な病気です。

正しい知識を持ってしっかりと治療、予防しましょう!

動物の歯科治療のご紹介

皆さんは飼われているペットのお口の中を最近見ましたか?

最近はペットのお口の健康に関する意識も高くなってきていますね。

ですが、皆さんのオーラルケアは本当に正しいのでしょうか?

実は非常に多くの間違った情報、サービス、商品が多く出回っており、本当に正しいオーラルケアを意識してされている飼い主様はほんのわずかです。

なぜなら正しい知識を持った人が少ないことと、飼い主さんが正しい知識を持った人から知識を得ていないからです。

正しい知識はグーグルや、一般の人、トリマーさんから得ることでは不十分です。

例えば、もし今ペットの歯磨きを歯ブラシで一度もしたことがないなら、あなたのペットは8割の子が歯周病を患っているとご存知でしたか?

当院では歯周病に関する正しい知識をお伝えすることができます。

手遅れになって大切なペットの健康を害する前に一度ご相談ください。