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動物病院選び:皆さん歯が痛かったらどこで診てもらいますか?

これをご覧いただいている皆さんはご自身の歯が痛くなったらどこで診てもらいますか?もちろん歯医者さんですね。皮膚科や内科、眼科などではないと思います。ましてや、美容院や一般の人(もしくは民間資格)の人に見てもらうことはないですよね。

これをわんちゃんに当てはめてみるとどうでしょう?
動物の歯の異常を近所の獣医さんに診てもらうとすると、もしかしたら皮膚科の先生に診てもらっていることになるかもしれません。または、外科医の先生かもしれません。

なぜなら獣医さんは動物のお医者さんですが、外科をはじめ内科、皮膚科、耳鼻科、脳神経科、整形外科、形成外科、消化器科、産婦人科、小児科、はたまた精神科、美容外科など様々な科を網羅しなければなりません。

もっと言えば犬に加えて猫、ウサギ、ハムスター、鳥などまで見る場合もあります。1人の獣医さんが動物の歯のスペシャリストである可能性は低いと思いませんか?

一昔前であればそれぞれの病気の知識は広く浅くで問題なかったでしょう。
一方、現在は動物をより大切に飼うようになりそれに合わせて動物医療もかなり進歩してきています。一人の獣医さんがすべてを見る事は終わりになってきているのではないでしょうか?

お伝えしたいことの一つは

「犬や猫の歯の問題を獣医さんに相談する場合は、歯のスペシャリストがいる病院を選ぶ」


ということです。


まれにトリミングサロンで歯石をとってもらっているという話を聞きますが、人でいえば、美容師さんに口の中に刃物(スケーラー)を入れられてガリガリしてもらっているようなものですね。恐らくグローブもしてないでしょう。
お伝えしたいことのもう一つは「トリミングサロンでの歯石取りはやめた方が良い」ということです。

民間資格の歯石取りも同様です。一般人で試験も通ってない人間が、人のお口の歯石取りますよと言っているようなものです。


間違ってもらいたくないのは、普段行かれている獣医さんが悪いのではないということです。
開業されている獣医さんは優秀な方がほとんどです。勉強熱心な方も多く幅広い知識を持って、かつそれぞれの分野も十分にできる事が多いです。今の通われている獣医さんをホームドクターとしてもらって問題はありません。



話がそれますが、ホームドクターを選ぶ際も良いホームドクターを選びましょう。

私が良いホームドクターさんと思うひとつの基準は、きちんとメリットとデメリットをあげながら選択肢を提案してくれるかどうかです。

例えば僧房弁閉鎖不全症(以下MR)という心臓の病気があります。
以前は心臓をあけて手術をすることはかなり困難で死亡リスクも高いものでした。動物医療は今進歩してきており、MRの治療として手術が選択できるようになっています。
もちろん、高額であったりできる施設が限られることやリスクも依然あります。

ただし、手術の一番のメリットは構造的に治すことで、内科治療に比較して寿命を長くできる可能性があるということです。

ホームドクターの先生がそのような事を知識として持っていれば、先生のところでできる内科治療と一緒に、そういった治療も提案してくれると思います。

それぞれの治療をした場合の未来を提示してくれて、飼い主さんが選択できるようにしてくれる。
飼い主さんとわんちゃん、ねこちゃんの事を第一に考えて、未来とそれに続く道を提示してくれるのが良い獣医師さんと言えます。



話を戻します。
残念ながら歯の治療に関しては、良い先生ほど忙しいために十分に飼い主さんに提案が難しいこともあります。
また、肉眼で見ただけでは病変の評価ができないことも知っておいてください。

当院に来られる患者さんでも何人もの方が、

いつも行っている先生に「歯はまだ大丈夫」と言われた

…と言われています。
ですが、歯を高度に治療している私たちでも、無麻酔の状態でのチェックでは「大丈夫」とは言えないのです。

なぜなら、歯周病という病気は見えないところ(歯ぐきの裏側や骨)で進行する病気だからです。

例えば…


この写真の下あごの歯の異常がわかるでしょうか?



歯ぐきが赤黒くなっているのがわかりますか?これなら異常があることはわかりますよね。

ただ、もう一か所悪いところがあるんです。レントゲンをお見せしましょう。



どこが悪いかわかるでしょうか?



水色で縁取ったところが、先ほど肉眼でも赤かったところです。そこには深いポケットができていました。
写真ではあまり顕著な病変が見られない黄色い〇で囲った部分にも、レントゲンでは異常が見られます。

わかりやすいように拡大すると…(後者は正常な別のわんちゃんのレントゲンです。)


歯と歯の間に三角形の歯石が映っており、その下の骨が少しなくなっています。


ここを必ず処置できれいにして、飼い主さんにここが悪かったことをご報告することが大切です。その為には、レントゲン撮影とプロービングが必須です。
もし肉眼で見える歯石だけ取っていたらどうでしょう?必ず見落として歯石を取り残しそうですよね。

もう一つ大切なことは、これぐらい微妙に進行しているうちにチェック及び治療するという点です。
そうでなければ右の大事な歯をいつの間にか失うことになりますし、最悪の場合下あごが骨折することもあるのです。

このように、歯科レントゲンで小さな病変を逃さず治療するのは、歯に力を入れている病院でなければできません。

ここで難しいのが、歯に力を入れていると言ってもどこまでできるかは飼い主さんにわかりづらいことです。

動物歯科の分野はここ近年急速に広がっています。
以下のような理由が挙げられます。


一方、どこまでできればいいのかの基準がないため、治療のレベルが千差万別なのが問題点としてあげられます。(残念ながら人の歯医者さんも同じようですが)

獣医師という資格を含めた法律やシステムをはじめ、獣医師の知識が動物歯科治療に対応できていないのです。今後できれば獣医師という資格の中に、試験を受けたら名乗れる専門科として動物歯科をぜひとも作るべきだと思います。なぜなら、人では歯医者という一つの資格として独立するぐらいの分野だからです。
それだけ歯という臓器は特殊な臓器なのです。

どの動物病院(先生)がいいのかは残念ながら即答することはできません。
ただ、すくなくともホームページを見てどのような治療ができるかを記載していることや、歯科用のレントゲンがある事は最低条件ではないでしょうか。

もちろん何らかの資格(日本小動物歯科研究会のレベル4やISVPS認定)があることは参考になります。
日本小動物歯科研究会:https://www.sadsj.jp/
ISVPS認定:https://www.improveinternational.jp/

あとは実際に病院に行っていただいて、まず相談してみてください。
動物歯科診療で大事なのはヒアリングやコンサルテーションといった処置前の説明です。


なぜなら、歯周病は生涯付き合っていく病気であり、飼い主さんのホームケアも重要になります。
また一回の処置ではできる事は限られています。
さらに麻酔がかかっていない状態では診断がついていません。

ですので、実際に麻酔をかけたときに“どういう状況であればどうするか”という事前の確認事項が多数あります。

例えば、中高齢のわんちゃんなら口腔内に腫瘍がある可能性があります。実際に麻酔をかけて判明した場合に、一部を切り取っての検査をするかどうかの確認が必要であったりします。

その為処置前の診察には、少なくとも30分ぐらいはお話することが必要です。
もちろんその先生の知識と熱意も大事です。
ただ、決して電話で歯石取りの値段を聞いて判断することだけはやめてください。先生に診てもらって実際どこまでしてくれるかを判断してください。

まとめ

いろいろ説明しましたが、私は普段から
という想いで動物の歯科治療を行っています。


歯を抜いてしまう前に、大切なわんちゃんの歯を任せる先生はよく選んでいただき、わんちゃん猫ちゃんとの楽しい生活を送ってください。

この記事を書いた人
獣医師 樽野謙太(たるのどうぶつ診療所 院長)
獣医師 樽野 謙太 /
たるのどうぶつ診療所(院長)

鳥取大学2008年卒、岡山県内の動物病院を勤務、2014年たるのどうぶつ診療所を開院。 動物歯科診療をはじめ、ワクチン予防接種や一般的な動物診療など幅広く診察を行っています。 治療を通してわんちゃん・ねこちゃんとのより良い関係を築いてほしい。 そのような想いをもってより良い獣医療の提供に努めています。
資格 獣医師免許
日本小動物歯科研究会レベル4認定
ペット栄養管理士
詳しいプロフィールはこちら
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