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歯科治療事例
Case

歯が折れた(割れた)わんちゃん。残すための治療

この治療を担当した獣医師
獣医師 樽野謙太(たるのどうぶつ診療所 院長)
獣医師 樽野 謙太
たるのどうぶつ診療所 院長
岡山アニマルデンタルクリニック 院長(HP
資格 獣医師免許
日本小動物歯科研究会レベル4認定
ペット栄養管理士
ISVPS 小動物歯科・口腔外科学認定医
メッセージを見る
鳥取大学2008年卒、岡山県内の動物病院を勤務、2014年たるのどうぶつ診療所を開院。 動物歯科診療をはじめ、ワクチン予防接種や一般的な動物診療など幅広く診察を行っています。 治療を通してわんちゃん・ねこちゃんとのより良い関係を築いてほしい。 そのような想いをもってより良い獣医療の提供に努めています。 詳しいプロフィールはこちら
本症例の記録
犬種:柴犬
性別:メス
年齢:9歳
体重:9.6㎏
お住まいの地域:県内
  • 病名:複雑性歯冠破折(右上顎第四前臼歯)および単純性歯冠破折(左上顎第四前臼歯)
  • 処置:抜髄根管充填
  • 処置時間:3時間
  • 麻酔時間:4時間
  • 麻酔状態:良好
  • 基礎疾患:なし
  • 使用機材:
    マイクロスコープ、歯科ユニット、エンドモーター、根管長測定器 他

これまでも歯が割れたわんちゃんをご紹介しました。
今回は歯が割れて象牙質が出たわんちゃんの神経を抜く治療をして歯を残したわんちゃんをご紹介します。


歯が割れて象牙質が出てしまったわんちゃん

まず、歯が割れた場合、大きく分けると神経(歯髄)が露出していない場合と露出している場合があります。
この子の反対の歯は割れてはいましたが、神経は出ていませんでした。
ただし象牙質が出ていたため、神経を取り除く処置をしました。



なお、歯の神経(歯髄)が露出した状態を露髄といいます。
露髄した場合、神経は細菌による感染を起こします(化膿)。
露髄して時間が経っていなければ感染はわずかなので、感染した部分の神経を取り除き、残った神経を保護して塞ぐ事で、神経も残すこともできます。

一方、ある程度時間が経ってしまうと感染が神経の奥まで到達してしまうので、残すのが難しくなります。そのような場合は、歯の中の神経と細菌をすべて取り除いて、感染源を無くす治療を行います。
これを歯内療法と言います。いわゆる“神経を抜く”と言われる治療です。

人の歯科治療で歯内療法を行う場合のほとんどは、虫歯によって神経が感染を起こしている場合です。

一方、わんちゃんの歯内療法は主に今回の子のように歯が割れた場合に行います。
特に、歯が割れて時間が経ってしまったけれど歯を残したい場合、この治療の適応になります。
治療をすれば100%残せる(治せる)わけではありませんが、本人が快適かつ歯を温存するには、今のところこの方法しかありません。

歯が割れて(欠けた・折れた・壊れた 等)露髄した場合の治療方法

  1. 生活歯髄切断:断髄 (神経を残す治療:折れて比較的早期に限られる)
  2. 抜髄根管充填:歯内療法
  3. 抜歯
上記の中から、年齢や麻酔リスク、飼い主様の希望、予算などによって選択します。

割れてそのままにしておくことはお勧めしません。そのままにしているということは、お口の中に神経が出たままということです。
想像するだけで痛そうですよね。

また、感染した歯髄は時間が経つと歯の根っこの先に膿を作って、最後には膿が目の下に出たり、歯ぐきから出たりします。

必ず歯髄を残す治療をするか、歯内療法をするか、抜歯をするかしてあげてくださいね。

今回の症例は、飼い主様のご希望で歯内療法を行いました。
簡単に治療内容を紹介します。

検査
レントゲンやプロービング(探針での探索)を行い、歯や神経を残せる状態か、根尖病巣が無いかを確認。

事前準備
汚れをきれいに除去し、ラバーダムをかける作業を行う。

消毒
ラバーダムおよび歯の周囲を消毒する。

髄腔開拡
歯髄にまっすぐにアプローチする穴をあける。

抜髄
神経(歯髄)を取り除く。

根管形成
根管を広げて汚れを取り除き、また洗浄しやすく充填しやすい形状に形成する。

根管洗浄
汚れを洗浄する。

根管充填
ガッタパーチャなどで拡大した根管を埋める。

歯冠修復
上部をCR等で充填、形成する。

簡単に記載するとこのような流れになりますが、様々な要素を考慮しながら繊細な処置が必要になるため、十分な知識やマイクロスコープなどの機材、適切な手技、適切な材料が必要になります。
当院で使用しているマイクロスコープなどの機材については、以下のページで詳しくご紹介しております。
歯科用機器紹介はこちら

また、修復材料や手技などは日々進歩しているため、継続的な勉強も必要になります。

治療後の見た目

修復した後はこのような外観になりました。(1枚目:左側の歯 2枚目:右側の歯)



本来の歯の形にすることは強度上困難なため、やや主咬頭(歯の大きい方の山)は小さく形成しています。
本当に成功したかどうかは、人と異なり痛みなどでは判断ができないので、定期的にレントゲンなどで確認しながら診ていきます。

まとめ

歯が割れて(折れて・欠けて)歯を抜くしかないと言われることもあります。
ものを噛んでの破折(歯が割れること)は、多くの場合歯内療法で残せることが多いので、歯を得意とする先生にぜひご相談してください。

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