大型犬の歯周病
2020年2月3日
本症例の記録
犬種:バーニーズマウンテンドッグ
性別:メス
年齢:6歳9か月
体重:33㎏
- 病名:歯周病 重度歯周炎
- 処置:抜歯 SRP
- 処置時間:3時間
- 麻酔時間:3.5時間
- 麻酔状態:良好
- 痛みの管理:局所麻酔 NSAIDs
- 基礎疾患:なし
- 使用機材:
歯周外科器具
歯科ユニット
歯科レントゲン
歯周病はわんちゃんのお口の問題で非常に多い病気です。
一般的に小型のわんちゃんは歯周病がひどくなりやすいと言われています。
しかし、もちろん中型~大型のわんちゃんでもならないわけではありません。
今回は、バーニーズマウンテンドッグのかわいい女の子の歯周病治療事例です。
ドッグサロンで歯石を指摘されたとのことで来院されました。
バーニーズマウンテンドッグの歯周病治療事例
見てみると全体的に中程度の歯石があり、歯肉の赤み、強い口臭がありました。
また上のあごの前臼歯の歯肉(歯ぐき)が一部喪失しており、重度の根分岐部病変が疑われました。
また隣の歯の先端も欠けています。
この部分のレントゲンを撮ってみると
こんな風に骨が溶けていました。
この子は反対の同じ部位の歯も
同様の状態でした。
レントゲンを撮らないと骨の状態はわかりませんが、歯肉(歯ぐき)に注意して観察することで、進んだ歯周病がわかる場合があります。
これらの歯は根分岐部病変の3度(プローブという器具が反対側まで貫通)であり、また左の方は骨が溶けたことにより鼻と口がつながった状態にあったため、抜歯を行いました。
その他の歯も、歯を支える骨が溶ける段階の歯周炎が多く見られました。
下のあごの犬歯には被毛が多く付着しています。
歯ぐきから毛が生えているように見えますね。
皮膚炎を持っていて、なめる子に多い状態です。
この状態の場合、毛の周囲にプラークが付きやすく、そのプラークの影響で歯周病が進行してしまうことが良く起こります。ちなみに小型犬では前歯の隙間で多く見られます。
よって、注意をしてブラッシング等で毛を取る必要があります。
また可能であれば皮膚病のコントロールも同時に行います。
治療後の経過
この子は手遅れになる前にドッグサロンさんに指摘されたので幸いでした。
その後再診で来られた際には少しずつ歯磨きを頑張っていました。
これ以上ひどくならなければいいですね。
ご協力いただいた飼い主様、わんちゃんありがとうございました。
この治療を担当した獣医師
獣医師 樽野 謙太 /
たるのどうぶつ診療所(院長)
鳥取大学2008年卒、岡山県内の動物病院を勤務、2014年たるのどうぶつ診療所を開院。
動物歯科診療をはじめ、ワクチン予防接種や一般的な動物診療など幅広く診察を行っています。
治療を通してわんちゃん・ねこちゃんとのより良い関係を築いてほしい。
そのような想いをもってより良い獣医療の提供に努めています。
資格 |
獣医師免許
日本小動物歯科研究会レベル4認定
ペット栄養管理士
|
詳しいプロフィールはこちら
犬・猫の歯周病について
犬の歯科治療事例の一覧へ戻る