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歯科治療事例
Case

犬の虫歯(う蝕)の症例

本症例の記録
犬種:ポメラニアン
性別:メス
年齢:9歳6か月
体重:3.5㎏
  • 病名:齲歯
  • 処置:抜歯(209)、SRP
  • 麻酔時間:45分
  • 麻酔状態:安定
  • 痛みの管理:メロキシカム、リドカイン
  • 備考:当日退院

「虫歯」という言葉を知らない人はいないと思います。虫歯が一本もないことは自慢できることですよね。人の世界では、虫歯はそれほどよく知られている病気です。

一方、わんちゃんでは虫歯はまれな病気です。
理由としては、口腔内のpH値(酸性度)や食事内容が、人と異なることがあげられます。虫歯ができやすいわんちゃんは、人の食べ物を食べている子、食糞をする子に多いといわれています。

わんちゃんの虫歯は主に奥歯にできますが、明確な症状が出ないため偶発的に見つかることがほとんどです。私は今まで3例(確定診断ではなく、臨床診断)しか見たことがありません。

今日紹介する症例は、歯周病に対する歯科処置の際に偶然見つけた齲歯(うし:虫歯のこと)を疑う症例です。

今回の症例について

あらかじめお断りしますが、病理検査をしているわけではないので確定診断ではありません。当院で健康診断をした際に歯肉炎が見られたため、検査を含めた歯科処置を行いました。
その際に左上顎の奥歯(209:第一後臼歯 first molar)の中心窩に、変色及び陥凹が見られました。

探針で探ると、本来エナメル質で覆われておりツルツルとして引っ掛かりのない部位なのですが、円形に柔らかくなっている状態でした。
なお、大きさは4㎜ほどでした。


この時点で明らかな露髄は確認できませんでした。また、レントゲンでは根尖周囲病巣などは見られませんでした。
臨床診断は、「露髄を伴わない、象牙質まで進行した齲歯」としました。

治療方針としては
  1. 齲窩を削って修復→〇歯を残せる ×定期的にレントゲンで感染確認が必要
  2. 抜歯→〇一回の処置でワンちゃんは痛みがなくなる ×歯を失う
をご提案しました。

どちらが正しいというのはありません。今回は飼い主様と相談の上、抜歯をすることになりました。

歯科処置から約3か月後、抜歯を行いました。
この時に見ると、齲歯がある方の歯列の歯石が、反対の歯列に比べやや多く着いていました。

抜歯をする歯は根っこが三本ある歯なので、三つに分割してそれぞれ抜歯をします。
周囲の粘膜を少し剥離して縫合して、抜歯窩を塞ぎました。
その後、周囲の歯石を除去して終了しました。

二週間後に再診で来院していただきましたが、抜歯をしたところの傷は塞がっていました。
また、処置をする前よりも良く食べるようになったという事でした。

わんちゃんでも、おそらく象牙質が露出するような虫歯は痛いのではないかと思います。
なかなか普段虫歯があると気が付くことはないと思いますが、若い時と比べてフードの食いつきが悪い事があれば、お口の問題が隠れている可能性もあります。

わんちゃんの普段の様子で気になることがあれば、お近くの獣医さんに早めに相談されることをおすすめいたします。

この治療を担当した獣医師
獣医師 樽野謙太(たるのどうぶつ診療所 院長)
獣医師 樽野 謙太 /
たるのどうぶつ診療所(院長)

鳥取大学2008年卒、岡山県内の動物病院を勤務、2014年たるのどうぶつ診療所を開院。 動物歯科診療をはじめ、ワクチン予防接種や一般的な動物診療など幅広く診察を行っています。 治療を通してわんちゃん・ねこちゃんとのより良い関係を築いてほしい。 そのような想いをもってより良い獣医療の提供に努めています。
資格 獣医師免許
日本小動物歯科研究会レベル4認定
ペット栄養管理士
詳しいプロフィールはこちら
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