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歯科治療事例
Case

歯が割れて神経が出たわんちゃん

本症例の記録
犬種:ノーフォークテリア
性別:メス
年齢:2歳
体重:4.4㎏
  • 病名:複雑性歯冠歯根破折
  • 処置:生活歯髄切断術
  • 処置時間:1時間10分
  • 麻酔時間:2時間
  • 麻酔状態:良好

わんちゃんのお口の問題で一番多いのは歯周病です。

そしてその次によく当院に来院されるのは「歯が割れた」わんちゃんです。

原因は「硬いものを噛んだ」という単純な理由です。

単純ですが、根が深い問題です。

世界的にわんちゃんは固いもの(骨?)を噛むイメージが定着してしまっています。

野生のオオカミでは普通に食料(獲物)が取れるときには骨を噛むことはないそうです。

ですが、食料が乏しくなってくると骨を噛んで食べる(おそらく歯髄の栄養を取る)ことはあるようです。

現代に生きているわんちゃんでは基本的に飢えることはないため固いものを与える必要はありません。

ですが、狩猟という一日の大半を占める仕事がなくなったわんちゃんは暇を持て余しています。

そこに、噛んでストレスを発散できるものがもらえると喜んで噛んでしまいます。

本来は固いものを与えるより、一緒に遊んであげる時間を確保することが大事なのです。

良かれと思ってしていることが、わんちゃんを傷つけることになってしまいます。

もしこの記事を読まれた方は、周囲の人にも『固いものをあげてはいけない』ことを教えてあげてください。

 

さてでは治療のお話です。

この子の場合は破折の分類の「複雑性歯冠歯根破折」という状態になります。

複雑性とは歯髄(いわゆる神経)まで出てしまっていることを指します。

また歯冠歯根破折は歯の見えている所も割れているし、歯の見えていない根っこ(歯根)も割れているという意味です。

この場合の治療を考えるうえで重要な点は2つあります。

1つは破折してからの時間です。

歯髄が出てしまった場合、そこに細菌が感染を起こします。そして時間がたてばたつほど感染が広がりやすくなります。

その為歯が割れてから時間がたった場合は歯髄を抜く治療を行うか、歯を抜くことになります。

若い動物の方が歯髄が太く血管も豊富なので神経を残せるタイムリミットも長い傾向があります。

一方、2~3歳ごろになると歯が割れて2日以上たった場合は歯髄を残せないことが多いと言われています。

もう一つの重要な点は歯根(歯の根っこ)がどこまで割れているかです。

割れている歯を修復する場合レジンというプラスチックを使用するか鋳型を取ってかぶせものをします。

歯の根っこの奥まで割れている場合は修復しても深いポケットができてしまいます。

また治すところをきれいな状態に保つことが難しいため修復ができません。

もちろん歯の強さもなくなるので直したとしても折れてしまうかもしれません。

 

まとめると

①・歯髄が出ていない ・歯根が割れていないもしくは割れていてもわずか

→レジン等で歯冠の修復を行う。もしくはかぶせもので修復

②・歯髄が出ている ・時間がほとんど経過していない場合 ・歯根が割れていないもしくは割れていてもわずか

→・生活歯髄切断処置(途中まで歯髄を削って蓋をして残す) ・歯内療法(歯髄を抜く) ・抜歯

③・歯髄が出ている ・時間がある程度経過 ・歯根が割れていないもしくは割れていてもわずか

→・歯内療法 ・抜歯

④・歯根が深いところまで割れている

→・抜歯

ということになります。

 

この子は「複雑性歯冠歯根破折」でした。

折れてからすぐにご連絡をいただき、歯根の破折が軽度であったため生活歯髄切断処置で歯を温存することになりました。

また、歯を残す方向で考える場合は他のいくつかの要件を考慮します。

考える要件としては

・費用

・年齢:破折時の年齢が若い場合は残す意味は大きい。反対に高齢の場合は後の負担を考えて抜歯の事が多い。

・将来的な麻酔リスクの上昇:短頭種や僧房弁閉鎖不全症が起きやすいかどうかなど。

・飼い主さんがオーラルケアをどれだけきちんと行えるかどうか。:歯を残す=歯周病の可能性

・同じことが起きないかどうか:固いものを噛むことを防げない場合は再破折の可能性かなり高い

などを考慮しながら治療を決定します。

このように折れて歯髄がみえています。


治療は以下のように行いました。

①クリーニング、防湿(ラバーダム)

 
少しラバーダムから出血が見えますが、この時点で歯肉を一部切除しているためです。

この後ラバーダムの隙間をシーリングしています。

②歯髄の切断、止血

③歯髄覆髄

④±裏層

⑤レジンでの修復


という流れで行います。

この子は歯根の一部まで破折していたため歯肉の一部を切除しています。

 

この後定期的に歯髄が壊死していないかどうかを観察していきます。

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