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歯科治療事例
Case

心臓の悪いわんちゃんの歯科処置

本症例の記録
犬種:ミックス
性別:オス
年齢:8歳
体重:4kg
  • 病名:-
  • 処置:SRP
  • 麻酔状態:安定
  • 基礎疾患:僧房弁閉鎖不全症、椎間板ヘルニア
  • 使用機材:
    ・モリタ歯科ユニット
    ・モリタエックス線装置
    ・ウッドペッカー超音波スケーラー 歯肉縁下チップ装着
    ・ケアストリームデジタル歯科レントゲン(イメージングプレート)

今回は心臓の悪いわんちゃんの歯科処置を行いました。小型犬では最も多い僧房弁閉鎖不全症という心臓病です。

僧房弁閉鎖不全症とは

心臓の中の、左心房と左心室という二つの部屋の間にあるのが僧房弁と言います。
僧房弁は、左心房の血液を左心室に流し、左心室からは左心房に血液が流れないようにする、弁の役割があります。その弁がうまく機能しなくなって血液が逆流してしまう病気が、僧房弁閉鎖不全症です。

多くの場合、内科治療で重篤な肺水腫(肺の中が水浸しになる)などが出にくくする治療を行います。

僧房弁閉鎖不全症は急に起きるわけではなく、徐々に進行していく病気です。初期には何も症状を出しません。徐々に進行するにしたがって、動くとしんどい様子が出たり、咳が出始めます。
進行の度合いはその犬によって異なりますので、寿命まで生きるわんちゃんもいます。
逆に、どんどん進行して肺水腫や心不全で亡くなる子もいます。

心臓疾患があるわんちゃんの、歯科治療時の麻酔について

今回処置を行ったわんちゃんは、咳の症状がある僧房弁閉鎖不全症のわんちゃんです。
8歳の男の子で、体重は約4㎏です。

心臓が悪い場合は麻酔がかけれないと思われがちですが、すべての犬でかけれないわけではありません。もちろん、何も病気がない子に比べればリスクは高くなります。
ただしこの子の場合、血液の逆流は中程度で、不整脈もなく血圧も維持していました。また、運動不耐性もない状態でした。
よって、麻酔をかけて治療を行いました。

今回の治療について

まず、麻酔をかけずにお口の中を観察した時点では、犬歯の歯茎が後退しているのが見えました。歯石の量は中程度で、口臭はそれほどありませんでした。

今回のわんちゃんの場合、この段階で考えないといけない事は以下の3つです。

  1. 僧房弁閉鎖不全症は進行性のため、今後麻酔のリスクはどんどん上がる
  2. 今の時点で歯周病の進行がどの程度かは不明(麻酔下で検査をしないとはっきりわからない)
  3. 歯周病は放っておくと進行する。歯がぐらついて食べにくくなったり、歯周病による炎症が体に悪影響を及ぼす。場合によっては心臓病の悪化の要因になるかもしれない
以上の事を飼い主様と相談して、歯科処置をすることになりました。


今回のわんちゃんは、下の写真のように犬歯や奥歯の歯茎が腫れていました。
歯石もついているのがわかります。





通常の治療通り、歯周ポケットの検査を行い、必要な部位のレントゲンを撮りました。

幸い重度の歯周炎を起こしている部位はほとんどなく、抜歯に至る歯はありませんでした。
ただ、下顎の前歯(切歯)は叢生(そうせい:歯並びが悪いこと)でした。

また上の前歯は回転歯で、歯根も曲がっていました。(黄色の矢印)


下のあごの全臼歯は数が足りず(欠如歯、欠歯:矢印)、乳歯の遺残(丸で囲った歯)も見られました。


SRP(スケーリング、ルートプレーニング)を行い無事終了しました。





今後も頑張って歯磨きをしていただき、歯周病にならないようにケアをしていただくようお伝えしました。

この治療を担当した獣医師
獣医師 樽野謙太(たるのどうぶつ診療所 院長)
獣医師 樽野 謙太 /
たるのどうぶつ診療所(院長)

鳥取大学2008年卒、岡山県内の動物病院を勤務、2014年たるのどうぶつ診療所を開院。 動物歯科診療をはじめ、ワクチン予防接種や一般的な動物診療など幅広く診察を行っています。 治療を通してわんちゃん・ねこちゃんとのより良い関係を築いてほしい。 そのような想いをもってより良い獣医療の提供に努めています。
資格 獣医師免許
日本小動物歯科研究会レベル4認定
ペット栄養管理士
詳しいプロフィールはこちら
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